「歯を磨く時は研磨剤なしの歯磨き粉がいい!」
「研磨剤が入っていると歯が削れる!」
「研磨剤不使用でホワイトニング!」
研磨剤と聞くと、ヤスリのように削って落とすというイメージがありますよね。
実は、市販で売られている歯磨き粉(歯磨剤)のほとんどの商品には当たり前のように研磨剤が含まれています。
ですが、歯磨き粉に含まれる研磨剤は「歯の表面を傷つけずに、歯垢やステインなど、歯の表面の汚れを落とす」という理由で配合されています。
ではなぜ研磨剤は良くないと言われているのでしょうか?
ここでは、研磨剤ありの歯磨き粉のメリットとデメリット、おすすめ歯磨剤の選び方や使い方などを紹介します。
目次
【そもそも】研磨剤入りの歯磨き粉とは?
歯の汚れには、
・歯垢(バイオフィルムという膜に覆われ、ねばねばしている。プラーク)
・歯石(歯垢が硬くなったもので、歯ブラシでは取れない。歯垢は2日で歯石に)
・着色汚れ(ポリフェノールと歯の表面のたんぱく質が結びついたもの。ステイン)
と大きく分けて3種類があり、歯垢は食後4~8時間で作られ、2日放置すると歯石となり、歯石をそのままにするとむし歯や歯周病の原因となります。
そのために、毎日の歯磨きが必須となります。
歯石になる前の歯垢の状態で歯をきれいにする歯磨きですが、研磨剤の入っていない歯磨き粉では実は「着色汚れ」を除去することが出来ません。
着色汚れ(ステイン)は歯垢とは別物で、一度付いてしまうと水に溶けずどんどんと蓄積されていきます。
蓄積されてしまうと茶色く沈着します。
ステインはコーヒー・紅茶・赤ワインのほかにも、カレーやチョコレートといった色素の濃い食べ物やポリフェノールが原因で沈着していきます。
これを取り除くことができるのが「研磨剤」となります。
研磨剤のメリットとは?
研磨剤は清掃剤とも呼ばれ、「研磨剤不使用!」といっておきながら「清掃剤」として歯磨き粉に入っている場合もあります。
大きなメリットは下記の通りです。
・着色汚れ(ステイン)を落とす力が強い
・着色汚れが落ちることでホワイトニング効果がある
普段、コーヒーや紅茶、赤ワインなどを飲む機会の多い人や喫煙をする人の悩みの種である歯が茶色くなってしまう着色汚れ。
研磨剤入りの歯磨き粉であればこういった着色汚れを効果的に落とすことが出来ます。
そのため、市販で売っている「ホワイトニング」を謳っている歯磨き粉にはこの研磨剤が含まれている商品がほとんどです。
ですが、研磨効果が高ければ高いほど歯にとって悪い影響が出てしまいます。
研磨剤のデメリットとは?
・研磨効果が高い歯磨き粉を毎日使うと、歯の表面が削れる
・歯の表面が削れるとひどい場合、歯が染みる「知覚過敏」になる
・知覚過敏になると、研磨剤が入っている歯磨き粉は使えなくなる(悪化するため)
・研磨剤が入っていない歯磨き粉だと、着色汚れ(ステイン)を落とすことは出来ない
・・・と悪循環のループになります。
また、歯の表面に傷がついてしまうと歯垢や着色汚れが「付きやすくなる」ため歯が汚れるのが早くなり黄ばみの原因にもなってしまいます。
間違った使い方をすると「ホワイトニング」をするために研磨剤入りを選んだのに、余計に歯を汚してしまう散々な結果になってしまいます。
研磨剤入りの歯磨き粉を効果的に使うには?
基本的に「低研磨」の歯磨き粉を選ぶようにすれば、歯の表面を削る心配はそこまでありません。
また、研磨剤が入っていても正しく磨けていれば本来は歯の表面を削る心配をする必要はありません。
どちらかと言えば、
・ゴシゴシ、ガシガシ磨く
・強い力で一生懸命磨く
・毛先の開いた歯ブラシでがんばって磨く
といった間違った歯磨きを続けるほうが歯の表面を削るリスクが高くなります。
これは、研磨剤あり・なしに係わらずNGな歯磨きの仕方になります。
研磨剤の「低研磨」と「高研磨」の違いは?
低研磨の歯磨き粉であれば、歯の表面を削る心配はありませんがその分着色を落とす効果は低くなります。
高研磨の歯磨き粉の場合、硬い粒子が配合されているので着色汚れを落とす効果は高くなりますが、歯の表面を削って着色汚れを落とします。
ですので毎日使うのはNGとなり、週に1・2回のスペシャルケアとして利用します。
例えば下記の商品が高研磨の歯磨き粉です。
・ザクト(ライオン)
・セッチマ(スペシャル)
・オーラツー プレミアム クレンジングペースト(スペシャルケア)
こういった歯磨き粉を毎日使うと確実に歯の表面が削れていってしまうので、スペシャルケアとして週に1・2回使う程度する必要があります。
研磨剤を気にするなら「モース硬度」をチェック!
研磨剤には、配合する成分によって「硬さ」があります。
モース硬度とはこの硬さを表す数字で1~10段階で表し、例えばダイヤモンドは一番硬い「10」となります。
歯の表面のエナメル質は硬く「6~7」と言われています。
また、歯の内側の象牙質は少し柔らかくなり「5~6」となります。
この歯の表面よりもやわらかいまたは、同じ硬さの研磨剤であれば歯を削る心配はありません。
※歯の磨き方によっては、硬度に関係なく削れます。
それでは、お手持ちの歯磨き粉を裏返して早速確認してみましょう。
歯磨き粉に入っている成分のモース硬度とは?
・アルミナ(酸化アルミニウム/酸化Al)・・・「9」
・無水ケイ酸(シリカ/二酸化ケイ酸)・・・「7」
・ハイドロキシアパタイト(ヒドロキシアパタイト/水酸化リン酸カルシウム)・・・「6~7」
・含水ケイ酸(無水ケイ酸よりやわらかい)・・・「3~5」
・~顆粒(A顆粒、Wa顆粒など)・・・「3~5」
・リン酸水素カルシウム(昔ながらの研磨剤)・・・「3~5」
・重質炭酸カルシウム(炭酸Ca/粒が大きい)・・・「3」
・軽質炭酸カルシウム(粒が小さい)・・・「3」
・水酸化アルミニウム(硬度が低い研磨成分)・・・「3」
・炭酸水素ナトリウム(炭酸水素Na/重曹)・・・「2.5」
以上が一般的な歯磨き粉に配合された研磨剤とそのモース硬度になります。
「アルミナ」や「無水ケイ酸」が入っている歯磨き粉は、汚れが落ちやすくホワイトニング効果も高くなりますがその分歯の表面が削れる心配があります。
※無水ケイ酸は「増粘剤」として配合することもあり、その場合は研磨剤としての機能はありません。
特にアルミナは硬く、鋼玉(こうぎょく)と同じ硬さでダイヤモンドに次いで硬い成分となります。
歯のためには毎日使うのではなく、着色がひどい時などたまのスペシャルケアとして使用するのが得策です。
また、最近話題のハイドロキシアパタイト(ヒドロキシアパタイト)は歯の表面のエナメル質と同じ硬度になるため歯の表面が削れる心配はありません。
ちなみに、薬用ハイドロキシアパタイトと「薬用」が付くものは通常のハイドロキシアパタイトよりも粒子が細かく(ナノ粒子)研磨剤としての心配はほぼありません。
薬用ハイドロキシアパタイトとは?
こちらは、アパガードの株式会社サンギが研究開発した成分で、
【1】歯垢の吸着除去
【2】歯のエナメル質表面の傷を埋めて修復
【3】初期むし歯を再石灰化する
という3つの効果を得られる薬用成分となります。
通常のハイドロキシアパタイト(ヒドロキシアパタイト)は研磨剤として配合されていますが、薬用ハイドロキシアパタイトはエナメル質を健康にして歯を白くします。
つまり、研磨剤入りの歯磨き粉や力強く磨いてしまったために傷の付いたエナメル質を修復することが出来るのです。
さらに、目に見えないミクロの傷を埋めて歯を滑らかにし、歯垢や着色汚れを付きにくくコーティングもしてくれます。
大きな違いは粒子の大きさで、薬用ハイドロキシアパタイトのナノ粒子は「初期むし歯を再石灰化してくれる」という効果を国に認められた成分となります。
汚れが付きにくくなるためコーヒーやワインを飲む人、タバコのヤニが気になる人に最適な歯磨き粉です。
アパガードの中でも、
・アパガードリナメル(歯科専用/低発泡、キシリトール配合)
・アパガードロイヤル(通販専用/パール成分配合)
は、市販のアパガードよりも薬用ハイドロキシアパタイトを2倍配合しているので効果も高くなりおすすめです。
着色汚れ(ステイン)やタバコのヤニを効果的に落とすには?
研磨剤の入った歯磨き粉は、着色汚れやタバコのヤニを効果的に落としてくれます。
ですが、硬度の高い研磨剤は歯の表面を削る危険性があります。
さらに、長年色素沈着してしまったステインは研磨剤が入っているとは言え、歯磨き粉では簡単に落とすことが困難です。
「研磨剤で歯の表面を削るのはちょっと…」
「でも、歯に付いた黄ばみや着色汚れを落としたい!」
そんな時に有効なのは、まず歯医者さんに行くことです。
歯科医院で、歯科医や歯科衛生士の人が行う「歯のクリーニング」をしてもらいましょう!
歯医者さんのクリーニングなら、1度で着色汚れやヤニ汚れを落とすことが出来ます。
歯磨き粉でちまちま地道に頑張るよりも素早くきれいに効果的に歯を本来の白さへ戻すことが出来ます。
・保険診療・・・3000円前後(歯の状態により何度か通うこともあり)
・自由診療・・・8000円~(1回の来院で完了。30分~1時間程度)
また、一度歯をきれいにした状態でホワイトニング効果のある歯磨き粉を使うことで、その効果を長持ちさせることが出来ますし歯磨き粉を選ぶ選択肢が増えます。
歯科医院で先生に自分に合った歯磨き粉を聞くことや、正しい歯の磨き方を教えてもらうこともできます。
歯のホワイトニングを考えたのなら、まずはクリーニングをするのが歯を白くする有効手段のひとつとなります。
研磨剤ありの歯磨き粉の選び方と使い方
1:普段は低研磨の歯磨き粉を使う
2:高研磨の歯磨き粉はスペシャルケアとして使う
3:傷ついた歯の再石灰化を促す「フッ素」配合の歯磨き粉を使う
4:または、歯の再石灰化をする「薬用ハイドロキシアパタイト」配合を使う
理想なのは「歯磨き粉を使い分けること」です。
歯磨き粉には種類があり、それぞれ歯の状態に合わせて配合された成分や有効的な成分が異なります。
また、研磨剤の硬さを知っておくことも歯磨き粉選びの役に立ちます。
そして一番重要なのが磨き方です。
・ゴシゴシ、ガシガシ磨かない
・力を入れて磨かない
・歯ブラシは1ヵ月で交換する
歯ブラシの持ち方はペンを持つようにし、軽い力(100~150gのブラシ圧)で1~2本ずつ小刻みに動かして磨く。というのが理想です。
ブラシ圧の100~150gはキッチンにある計りなどで確認すると分かりやすいですが、思っているよりも軽い力になります。
歯の消しゴムとは?
シリコンゴムでできた消しゴムに専用の研磨剤入りのペーストをつけて磨く商品です。
通常の研磨剤入りの歯磨き粉よりも研磨する力が強くなります。
注意点は毎日使うのはNGで、歯の表面をゴシゴシと磨くため磨きすぎると歯の表面を傷つける可能性が高くなります。
市販でも販売されていますが、Sylotee & Beepolish(シロティ&ビー・ポリッシュ)といった歯科医院さんでもセルフケアとしてすすめている商品を使うのが安心です。
こちらもスペシャルケアとして使うようにする必要があります。
研磨剤不使用のホワイトニング歯磨き粉を使うのもあり!
「研磨剤入りを使うのが不安になった…」
「研磨剤が入っていない歯磨き粉が良い…!」
そんな時は、ホワイトニング効果のある研磨剤不使用の歯磨き粉がおすすめです。
ただ単に「研磨剤不使用」の歯磨き粉を選んでしまうと、着色汚れが落ちないので茶渋やステインは付きたい放題となります。
そこで、研磨剤とは別の「着色汚れを浮かせて落とす」成分の入ったホワイトニング歯磨き粉を選ぶと着色汚れの心配も不要となります。
・ポリリン酸ナトリウム(分割ポリリン酸ナトリウム)
・ピロリン酸ナトリウム
・メタリン酸ナトリウム
といった成分が入った歯磨き粉を選ぶようにしましょう。
まとめ
研磨剤不使用の歯磨き粉が増えている中、ドラッグストアや薬局など市販で販売されている歯磨き粉には研磨剤が入っているものがほとんどです。
使用している歯磨き粉を裏返すと、「研磨剤」と記載のほかに「清掃剤」と記載があればそちらは研磨剤入りの歯磨き粉となります。
また、配合されている研磨剤の成分によっては歯の表面の硬度より高い(硬い)ものも存在します。
基本的には「歯の表面を傷つけずに、歯垢やステインなど、歯の表面の汚れを落とす」という理由で研磨剤が入っているので心配はありません。
ですが、毎日研磨剤入りの歯磨き粉を付けブラッシングすることで少しずつ歯の表面が削れていくということは否定できません。
特に高研磨のものは毎日使わず週1回のスペシャルケアとして使う必要があります。
また、ゴシゴシ磨きや強い力でガシガシ磨くということも歯の表面を削る原因となります。
着色汚れは、
・研磨剤入りで削って落とす
・ステインを浮かせて落とす
という2つの方法で落とすことができるので、研磨剤不要でステインを浮かせて落とす成分入りのホワイトニング歯磨き粉を選ぶことも選択肢となります。
ですが一番は、「まず歯医者さんで歯のクリーニングをしてもらうこと」です。
一度きれいな歯にリセットしてから、歯の状態に合わせた歯磨き粉を使い分けるのが白い歯を保つ一番の方法になります。